2025/07/02
これまで中国当局が外交問題で何かアピールしたい場合、新華社や人民日報(傘下の環球時報を含む)、CCTV(中国中央広播電視総台)という「3大メディア」を核に社論を展開するのが普通だった。
ところが最近新たに「パロディ映像」の流布による外交攻勢を掛けている。≪買ったばかりの飛行機が撃たれた≫と題するわずか1分12秒の歌謡動画が5月8日にアップされると中国国内で爆発的な人気を博したのだ。
歌は5月7日に起こったインドとパキスタンの空中戦をパロッている。
印パによる紛争は4月22日に起きた。インドが支配するカシミール地方で、イスラム過激派が26人を殺害したことについて、インドはパキスタンがテロリストとつながっていると非難した。
パキスタンはこれを否定したが、5月7日になると、インドはパキスタン国内のテロ組織関連の9カ所を空爆した。パキスタンはこれに対し、自国の戦闘機が5、6機のインド軍戦闘機(フランス製とロシア製)を撃墜したと主張した。
核保有国同士の印パは5月7日以降4日間にわたって衝突した。火砲、無人機、ミサイルを使った国境を越えたこの紛争は、米国の介入により5月10日、双方が引き下がることで最悪の事態は免れた。
さて空中戦を演じたのは、パキスタン空軍の長距離空対空ミサイル「霹靂15」で武装した中国製戦闘機「殲10Cフューリアス・ドラゴン」とインド空軍のフランスの軍需企業、ダッソー製の「ラファール」とロシア製「ミグ29」だ。
殲10Cもラファールも第4世代戦闘機であり、米国のF35や中国の殲20のような第5世代戦闘機ほどのステルス性を備えていない。だが、殲10やラファール、ロシアのミグ29は、米国のF16などの第4世代機と同レベルの高性能機だ。
中国製の地上管制、訓練、パイロットの技量が優れていたのか、それともインドが戦闘に慎重だったことが紛争初期のパキスタンの成功を可能にしたのかは分からない。
インド機は作戦の初期段階でテロリストの訓練キャンプを標的にし、空軍機を標的とはしていなかったから撃墜されたのではとする専門家もいる。
いずれにせよ、パキスタンが中国製の戦闘機と空対空ミサイルによって3機を撃墜したとされるこの事件は、多くの人々を驚かせた。撃墜は大々的に報じられ、中国の兵器への評価が上がった。
中国は世界最大の軍隊を擁し、巨大な軍産複合体を保有している。また、データサイト「スタティスタ」によれば、2020年から24年にかけての武器輸出は、米国、フランス、ロシアに次いで世界第4位だ。
しかし1979年にベトナムへの介入に失敗し、戦術的な技量不足を露呈して以来、戦争はしていない。中国の武器売却額は4位といっても5.9%にすぎず米国の43%にはるかに及ばないのは、「戦闘で実証済み」とアピールできないためだ。それが今回の事件で可能になった。
19日の中国国営メディア「環球時報」は、≪殲10は「国家の誇り」、航空宇宙、量子コンピューター、高速鉄道の技術革新とそれ以前の中国のローテク輸出を比較し、世界は「メイド・イン・チャイナ 」から「インテリジェント・マニュファクチャリング・イン・チャイナ 」への転換を目撃した≫と胸を張った。本当か?
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