2025/06/27
経済安全保障上の重要情報を指定し、その情報を取り扱える人物を政府が認定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の導入を盛り込んだ「重要経済安保情報保護・活用法」が2025年5月16日から施行された。
もう1つ。重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入法も同じ5月16日に国会で成立した。
指定する重要情報は、サイバー攻撃対策や重要物資の供給網の脆弱性などの19項目を想定し、資格付与に関しては、本人同意を前提に、政府が家族の国籍、本人の犯罪歴、薬物の乱用など7項目を調査し、認められれば重要情報を取り扱うことができるようになる。
初年度の資格保有者は民間人を含め数千人程度になる見通しだ。情報を漏洩した場合は5年以下の拘禁刑などの罰則が科される。
経済安保分野で適性評価制度が整備された背景には、人工知能(AI)など軍事と民生の両方に利用できる「デュアルユース」と呼ばれる技術の領域が拡大し、情報保全の必要性が国際的に高まったことが挙げられる。
すでに2014年12月に施行された特定秘密保護法は、対象を防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野に限定しており、適性評価で調べられているのは政府職員が大半だ。経済安保に関する適性評価が導入されれば、海外との最先端技術の共同研究に参加しやすくなり、企業のビジネスチャンスが拡大することも期待される。
導入後、政府は対象企業にSNSへの投稿などが「外国の諜報機関の情報収集の対象となる」として注意を呼び掛けた。企業には情報保全体制の強化や社内教育の充実が求められる。
一方、能動的サイバー防御は、国内・国外間、日本経由の国外間の通信を平時から取得し分析して、攻撃の兆候があれば関与するサーバーに警察と自衛隊が侵入し、攻撃プログラム除去など無害化措置を取る。
導入法では、サイバー攻撃の標的とされやすい電気や航空、放送、金融など15業種の「基幹インフラ」事業者に対し、生じた被害や、攻撃の前兆の可能性がある事象について報告を義務化した。電子機器の製品名やネットワーク構成の届け出も定め、怠れば最大200万円の罰金を科す。
日本の防衛戦略は、外国から武力攻撃を受けた時に初めて防衛力を行使する「専守防衛」が基本だが、サイバー攻撃の手法は巧妙化しており専守防衛では限界がある。
侵入・無害化措置を講じた場合、他国の主権侵害につながりかねないが、政府は、重大で差し迫った危険から不可欠の利益を守る唯一の手段で、相手国の利益を深刻に侵害しないなどの条件がそろえば、国際法上許容されるとの立場だ。
23年7月には名古屋港のコンテナ管理システムが機能停止し、昨年末には日本航空や三菱UFJ銀行もシステム障害に見舞われるなど基幹インフラへのサイバー攻撃は増えている。
日本では中国などの産業スパイが暗躍しており、米中の覇権争いが激化する中、経済安保上の重要情報が流出する恐れが強まっている。また中国やロシア、北朝鮮からのサイバー攻撃も絶えない。
自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会(高市早苗会長)は、スパイ防止法の導入検討を含む治安強化に向けた提言を取りまとめた。参院選公約への反映を目指し、近く石破茂首相(党総裁)に提出する考えだ。
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