政治•経済 社会•事件 トヨタが、NTTが。昨年より続く、有名上場企業の非上場化の波
トヨタが、NTTが。昨年より続く、有名上場企業の非上場化の波
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2025/05/10

豊田章男会長らトヨタの創業家が、会社のルーツである豊田自動織機を買収・非上場化すると報じられたのが4月26日。すると今度は5月8日、NTTが上場子会社のNTTデータを完全子会社化し、親子上場を解消するとした。前者はアクティビストの脅威やアクティビスト対策での〝先手〟で、後者はめまぐるしいAI社会を前に、財務基盤の強化や経営判断の迅速化という経営判断でどちらかというと〝後手〟でその意図はだいぶ異なるが、上場会社の非上場化という意味では同じで、こうした動きは一昨年辺りから非常に増えている。

 前者の創業家による「買収防衛」としてすぐ思いつくのが、このところのセブン&アイ・ホールディングスだろう。カナダのコンビニ大手のアリマンタション・クシュタールによる買収提案では、セブンの創業家の伊藤家がMBO(経営陣が参画する買収)を目指したものの頓挫、今でも攻防はくすぶり続けている。またソフトウェア開発の富士ソフトでも、米投資会社のKKRの買収案で、やはり創業家が対抗しようとしたが、こちらも挫折した。

 これを見て、豊田家が動いた。豊田自動織機と言っても会社としてピンと来ない人は多いだろうが、フォークリフトのシェアは世界一なので、実は割と大きい話だ。そして創業家によるMBOでは、23年から大正製薬、ベネッセ、永谷園、スノーピークでも同様の動きがあったばかりだ。

 後者の親子上場の廃止では、24年にNECがNECネッツを、この4月にはイオンがイオンモールをと、子会社の完全子会社化での親子上場解消の動きが活発化している。

 

今後も多発するであろう、同様の動き

 

「大きくは23年から始まった日本取引所による東証改革で、上場基準のハードルが高くなったことがあります。またそうなると、上場維持のコストも嵩み、そのくせ上場していれば何かと煩いアクティビストに付け狙われる脅威が常に存在するわけで、それなら上場を廃止してしまえということになります。まtら市場改革は今後も中長期的にマーケットに関わるテーマで、親子上場に関しても、東証証券取引所は2月に『親子上場等に関する投資者の目線』というものを公表。少数株主保護の観点から投資家の不満が多いとされる親子上場の意義が問い直されています」(経済誌編集者)

 だが公の目に晒された上場を廃止し、マーケットから抜けるにはそれだけ資金的な罪責も伴う。例えば創業家の意向では、大正製薬は総額約7100億円で国内最大、ベネッセも約2000億円もの公開買付費用を要した。金利負担も大きい上、従業員の士気も下がりがちだ。また不特定多数の株主がいなくなる代わりに、MBO資金を提供したファンドなどがさらに口うるさくもなる。NTTデータの場合も、4割強の株式を一般投資者から買い付けるに当たり、必要な資金は約2兆3700億円が見込まれ、極めて莫大だ。

 ただかつてのようなメインバンクによるガバナンスで、「上場=成功」などといった時代ははるか昔のこと。東証改革を待つまでもなく、エクイティガバナンスが進むにつれて、かつては年に数件程度だった上場廃止が、2000年辺りから以後は、40件を下回ることなく高止まりしている。今年も「あの企業までが!」といった上場廃止が現れるのはほぼ間違いない。

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