2025/05/04
地域に根付いて高齢者の見守りなどの福祉活動に携わる「民生委員」の不足が深刻化している。民生委員は、厚生労働相から委嘱される非常勤の地方公務員で、近年は単身高齢者の増加などを背景にその重要性が増しているはずだが、逆に充足率が低下しているのだ。
厚労省はこのほど、民生委員が元々活動していた自治体から転居した場合でも、条件を満たせば任期中は続けられるよう制度を変更したが、委員が担っている業務負担の軽減に向けた取り組みも必須だ。
■無報酬で活動する非常勤の地方公務員
民生委員は現在、全国で約23万人おり、無報酬で高齢者の見守りや地域住民の相談に応じ、行政とのつなぎ役を担っている。これまでは、定年退職後に時間に余裕のある人や、子育てが一段落した人らが、自治体などの推薦によって選ばれていたが、近年は自治会の加入率が低下。働く高齢者や女性の増加も背景に、適任者が見つからないことが多いという。
さらに、行政の下請け的に行う業務負担も根深い問題となっている。
例えば、生活保護の申請を巡り、申請者の生活実態に関して民生委員の意見書は必須条件ではないのに、提出を求めている自治体があるという。業務負担を理由になり手が減っていけば、制度が立ちゆかなくなってしまう恐れもあるため、総務省は3月、民生委員の負担軽減を図るため、制度の運用を見直すよう厚労省などに要請した。
■業務の効率化を
国や自治体が一体となり、現在の民生委員が各地で担っている業務の中で、廃止や効率化が可能なものはないかを洗い出し、改善につなげるべきだ。AI(人工知能)を使ったサポートなど時代に即した対策も検討しなければならない。
生活保護や介護など日常的に住民と接する機会の多い自治体職員と民生委員の役割分担についても、明確化を進められるかが検討課題となるだろう。
核家族化の進展なども背景に地域社会のつながりが薄れている中、地域の福祉を最前線で支える民生委員の存在意義は大きい。制度の円滑な運用やなり手確保に向け、その役割や重要性を国民に理解してもらうよう、周知・広報活動も重要だ。
時代の変化を踏まえた業務の見直しを早急に進め、制度の先細りを防ぐ必要がある。
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