2026/06/04
今年3月5日に「帝国ホテル 京都」がオープンした。帝国ホテルにとっては、初の京都進出、初のラグジュアリーホテルだ。また1996年の帝国ホテル大阪以来、実に30年ぶりの新規開業でもある。
宿泊料金は1泊2人16万4500円から、最上位の「インペリアルスイート」は1泊2人300万円。建物は、祇園エリアのランドマークとして長年、地域に親しまれてきた「弥栄会館(やさかかいかん)=京都市東山区」を保存活用した。
弥栄会館は、2001年に国の登録有形文化財、11年には京都市の歴史的風致形成建造物にも指定された。実はこうした文化財をホテルに転用する取り組みは全国各地で相次いでいる。
客室は全55室のオールラグジュアリーホテルとしてつくられ、総事業費は約124億円。設計は大林組が手がけた。
弥栄会館がホテルになる前は、演劇や人形浄瑠璃、映画館、ダンスホール、コンサートなどに使われていた。だが、老朽化や耐震性の問題で、建物の大部分が使用されない状態になっていた中、「弥栄会館の景観を残し、未来につなぐ」プロジェクトを発足させ、今回のオープンにつなげた。
京都市には厳しい景観整備条例があり、古くからの住宅街がある祇園エリアでは現在、最高でも高さ12㍍までの建築物しか建設できない。弥栄会館は高さ31.5㍍あるが、戦前に建設された歴史的価値によって「街の景観向上に資する」として、旧弥栄会館の一部を保存することを条件に条例の適用外になった。
建設にあたり、約90年前の景観を物理的に未来へ引き継ぐ試みとして、外壁の一部に加え、外壁タイル約1万6000枚を「生け捕り」(損傷を与えずに取り外す手法)で保存し再利用した。
京都に進出しつつ、少しでも客室数を確保したい帝国ホテル側と、歴史的建造物を利活用したい行政・地権者の利害が一致した形でのホテル誕生となった。(梛野順三)
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