2026/06/08
特殊詐欺被害が深刻化する中、被害回復や捜査の迅速化に向け、「絵に描いた餅」にならないよう実効性の高い取り組みが求められるだろう。
警察庁が、詐欺による被害金の追跡を早期に進めるため、大手銀行との提携を強化し、不審な送金記録を銀行側にオンライン照会できる新たな枠組みを導入した。匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の関わりが深刻化している特殊詐欺を巡っては、犯行グループが被害金を複数口座に移転させ続けることから捜査が難航するケースは少なくなく、警察庁は、新たな仕組みによって早期の口座追跡や凍結を図り、迅速な被害回復につなげたい考えだ。
警察庁は5月28日、みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな、セブン、楽天、イオン、SBI新生、ゆうちょの計9銀行と、被害金が振り込まれた口座からの資金移動を速やかに照会できるようにする協定を締結した。これまで被害を認知した各地のトド府県警が金融機関に照会をかけては数日~数週間要した手続きを、早ければ即日で済まさるようにする狙いがあり、6月から実際の運用が始まるとされている。
具体的な新たな対応としては、都道府県警から警察庁を介して協定締結先の9行にオンライン照会し、速やかな回答を得るといった内容だ。
犯行グループによるマネーロンダリング(資金洗浄)の抑止にも期待がかかり、日本の警察の国際的信用を高めるうえで重要な取り組みであることには間違いないだろう。大手の9行が積極的に捜査機関に協力することになるため、対策強化に対する警察関係者の期待は大きい。
ただ、悪質な犯罪グループは大手金融機関以外の様々な金融機関のサイトを悪用することも少なくなく、暗号資産の取引業者なども含め、警察はさらに連携策を広げるべきだ。捜査機関と金融機関が一体となり、不正対策に本腰を入れていくことが、犯罪者に対するけん制効果にもなるはずだろう。(桜田亮)
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