2026/07/09
全国で策定を終えた地域計画は、時の流れと人の営みにその実りを委ねる新たな歳月の入口に立っている。農林水産省が公表した「令和7年度 食料・農業・農村白書」で「地域計画」の策定状況が、2025年4月末時点で1615市町村、1万8894地区と報告された。ほぼ全ての地区で策定されたのである。
地域計画は、改正農業経営基盤強化促進法を根拠に、市町村が農業者や関係機関との対話を幾重にも重ね、移ろいゆく農地の明日と担い手の相貌を地図に刻む制度である。ただ、農地所有者や農業者に対して直接的な法的拘束力は持たない。
農地は、担い手の枯渇が深刻な地域では、計画が掲げる受け手が影を潜めている場合も少なくない。現に策定された計画のうち、将来の受け手に集約化した計画は約1割に過ぎず、将来の受け手が位置付けられていない農地面積は約3割を占めた。白書は「地域計画の継続的な見直しが必要」と指摘するが、農水省審議会委員を務める三菱総合研究所の稲垣公雄研究理事によると、現場には「中山間農業が持続できるかはあと5年が勝負」「このままでは100年かけても地域計画は作れない」という意見があるという。
地図に描かれた未来は、必ずしも現実の大地へ降り立つとは限らない。稲垣氏は「地域計画の実効性向上には、農地利用状況の可視化やデータに基づく合意形成環境の整備が重重要」と提言する。(小野貴史)
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