2026/06/25
テロを単独で計画・実行する「ローンオフェンダー(LO)」に関する不審情報をいちはやくキャッチしようと、警察庁はこのほど、貸倉庫業界と宅配業界に協力を求めた。特定の組織に属さないLOが、倉庫などで銃や爆発物を自作する前兆を把握し、テロ対策を強化する狙いだ。LOによるテロ実行の「意思」は、実際に事件を起こすまで表面化しにくいが、実行に必要な「ブツ」を調達・製造する段階から異音や異臭などの不審情報を収集できるとの期待がある。
LOを巡っては、安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件をはじめ、近年は選挙の応援演説中の機会を中心に相次いで事件が起きている。
安倍元首相の事件では、実行犯の山上徹也被告(45)(1審で無期懲役判決、現在は控訴中)が自宅や借りたガレージを利用してテロ実行計画を進め、近隣住民は異音に気づいていたが、未然防止にはつならがなかった。今回の警察庁による各業界への協力要請は、未然防止の網をできるだけ広くかける意図がある。
LOの場合、自宅が手狭になると別に作業場所を求める傾向があるとされ、警察庁は貸倉庫や宅配の業界に不審な点があったら速やかに情報共有してもらうよう依頼した。
LOは組織に所属しないため、前科があるケースなどを除くと、違法行為の前兆を事前に把握するのは極めて難しい。警察当局は常日頃から、過激な言動やSNSへの投稿などのネットパトロールによる監視に加え、爆発物や銃器の製造などに伴う異音や異臭などの前兆把握にも努めているが、情報が集約できているとは言い難いのが実情だ。
テロを実行しようとする「意思」の形成と異なり、目に見える形の武器など「ブツ」の調達・製造を巡る情報は、LOを事前に食い止める上で効果的だろう。今回の業界との「タッグ」が効果を発揮することが期待される。
探知しにくいLOの特徴を踏まえ、引き続き官民が一体となって端緒をつかみ、凶行を未然に防ぐための対策を強化していく必要がある。(桜田亮)
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