第70回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん
連載•小説
2026/08/31
佐渡 遠流の島
堅忍と衝動ともに我にあり遠流の島の佐渡に生まれて
貴種のそれ、はたまた流人の末裔か 秘かにたぎる破壊衝動
海パンでうちを駆け出し飛び込んだ あの海は今テニスコート
どこまでも煌めいていたよあの海は 是非を問わずに生きていた頃
手のひらでまあるく掴んで口吹けば 懸命にフグ腹ふくらます
何をかを知るはずもない幼少に佐渡はなんだか誇らしかった
・・・
さいはての遠流の島に生れしよりわれに無常の海鳴りやまず
椎野正三(代表歌)
先週28日(金)のNHKカルチャーセンター青山「福島泰樹・実作短歌入門」の題詠は「佐渡」で7首だった。
実は私の本籍は新潟県佐渡郡相川町にあった。両親とも今は金山跡が世界遺産に指定されている相川の出身だ。でも私は佐渡で育ったわけではない。7歳までは対岸の直江津市(現上越市)に育ち、その後はずっと東京だ。幼稚園から高校生3年まで、夏休みの40日間は毎年、相川で過ごした。だから夏・海の相川と、冬・雪の直江津は私の原風景である。
だから上掲の短歌も、実感を歌っているつもりだ。だが、最後に「正三・代表歌」として記した歌の前では、全てがかすんでしまう。短歌結社「やどりぎ」の東京支部長だった父・正三。3冊の歌集を残したが、その最初のものは「佐渡」というタイトルで、この歌もその中にある。本格的で格調高い、これこそ短歌だと、いつも机の前に掲げている。
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