社会•事件 連載•小説 形骸化「第三者委員会」の存在意義を問われる注目の裁判⑨
形骸化「第三者委員会」の存在意義を問われる注目の裁判⑨
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2026/04/19

極めてあやしい元社員Sの立ち位置②

 

 元社員Sの「早く終わらせないと庭に穴掘って埋めるぞ」という、およそカタギの人間、ましてや大企業の社員の発言とは思えない暴言から全てが始まったこの「三栄建築設計反社利益供与事件」。まさにこの発言ぶりから覗える、元社員Sのあやしな言動とは……。

 

 まずは訴状から引用しておこう。

 

〈被告元社員Sは、訴外(解体工事の直接の発注者の三栄建築設計子会社の)訴外MAIの在籍中に、その業務に関して問題を起こし、背任行為の疑いがかけられていること〉

 

 つまり元社員Sは、背任行為の疑いがかけられるような問題社員だったというわけだ。そして退職後に同業他社のK社に再就職するが、

 

〈訴外MAIの機密情報を不正に持ち出していたことが発覚したこと等から、退職金の支払いを留保されるなどしていた〉

 

 背任の他に機密情報の持ち出しまで行っていたという。だが結局はそれも露見。K社も退職に追い込まれた。かたや、

 

〈また元社員Sは、原告(小池)及び訴外MAIに秘して、S組長に対し、その自宅等の修繕工事等を行う建築事業者を紹介し、その対価としてS組長から「お小遣い」として幾度となく現金を受領していた〉

 

 元社員Sは、S組長と金銭的なつながりがあったのだという。だが自ら起こした問題にもかかわらず、退職のみならず退職金絡みでも小池に不満を持つ立場にあったという。だからこそ、

 

〈以上の次第であり、被告元社員Sは、原告(小池)に対する怨恨の情を抱いており、原告(小池)を陥れるために、あるいは、自らの責任・非難を矮小化するために、虚偽供述に及ぶ動機が存在していた〉

 

「お小遣い」に関しては、後に被告側準備書面で否定する主張がなされているが、その是非については今後の審理を待つほかはない。

 だが後段の、「自らの責任・非難を矮小化する」という意図に関しては、既に為された過去のものだから考慮に値し、実際に当てはまる可能性があるものだと言える。というのも解体工事の現場で脅迫があって逮捕者を出したことについて、連載⑦で当時の読売新聞報道を引きながら触れたが、実際に「早く終わらせないと庭に穴掘って埋めるぞ」との脅迫行為を行ったのは元社員Sだったからだ。ところがなぜか元社員Sは逮捕されずに、住吉会系組長が逮捕されているからだ。

 と考えれば、三栄建築設計と小池に警視庁がかけた「会社法違反(特別背任)」の捜査でも、やはり自らには塁が及ばない〝責任逃れ〟の供述を行っていたことは想像に難くない。

 

 さらに不思議なのは、小池が「指示も了承もしていない」という言葉を裏付けるかのように、その具体的証拠は出てこなかったことだ。

 小池側の準備書面にはこうある。元社員Sは小池に業務の報告を行う際はLINEを用いており、問題となった2件の解体工事でも第三者委員会の調査では「逐次報告していた」と証言して様々な証拠物を提出しているものの、

 

〈・・・であれば、原告(小池)と被告(元社員S)のLINEメッセージの中に、本件解体工事に関連するメッセージが1通もないのは極めて不自然というしかない〉

 

 やはり元社員Sは、第三者委員会が実態調査で多くを依存する供述者としてはかなりな問題があるということになる。・・・・・・⑩に続く。

 

(本誌・第三者委員会問題追及班)

 

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