2026/04/15
本人へのヒアリングさえしていなかった社内調査委員会――争点②の1
「指示も了承もしていない」。三栄建築設計の小池にしてみれば、寝耳に水の家宅捜査だった。だからちゃんと事情を説明すれば通じるはず。
ところが代表取締役の辞任を迫られ、そして事態は思わぬ方向に進む……。
22年9月に家宅捜査が入って以後、警視庁により事件の捜査が進められる。小池本人も数度の取り調べを受け、2カ所の解体工事の業者選定には関与しておらず、確かに業者への支払いは行ったものの、それはあくまで工事代金を支払ったまでで、その一部が組長に流れることは認識していなかったことを説明した。
ましてや工事代金が途中で値上がりしたものの、それは工事が予想に反して難航したからであって、しかるべき対価で、工事代金を水増ししてまで利益供与に当てたという特別背任に関しては一切の根拠が成り立たないものだった。
だからなのだろう、是が非でも小池を会社法違反(特別背任)で挙げたい捜査は執拗なもので、延べ150人もの社員が事情聴取を受け、それは何の事情も知るはずがない新卒社員にまで及んだという。
だがそれも、連載2回目で触れたように、警視庁の捜査は結局は〝見込み捜査〟に終わり、23年10月には検察庁の捜査もないまま不起訴に終わる。
だが23年6月20日、東京都公安委員会から、小池が解体工事での支払いで、S組長に対し額面約189万円の小切手を交付したことで利益供与を行ったとして、東京都暴力団排除条例27条による勧告が行われる。
そしてこれを受けて同日に行われた取締役会で、社外取締役の池内稚利を委員長とする社内調査委員会の認識が報告されるが、それは警視庁が疑った共謀ほぼそのまま。そこで徹底した事実関係の調査と原因究明のために第三者委員会を設置することが決定され、会社ホームページに適時開示される。
これが今回の裁判の4争点の2つ目で、23年6月20日付け適時開示が適切なものであったかどうかが問題点となる。だから被告は、報告を行った社内調査委員会委員長の池内、副委員長で社外常勤監査役の五藤誠一であり、その開示を行った経営陣の取締役の千葉理恵、吉川和男になる。
さてでは同適時開示情報を見ると、11月に小池が代表取締役を辞任した後の12月20日に設置された社内調査委員会の報告が別紙として添付されている。そこで箇条書きされた委員会の認識は、以下だ。
①小池の了承の下、S組長の意向によって、業者選定を行った
②工事代金の一部がS組長に渡った
③問題となった解体工事以外にその後も、解体工事でS組長を関与させようと、話し合いを行っていた
だが小池がこれに反論して訴訟を起こしているのを待つまでもなく、この報告は額面通り受け取ることはできない。なぜなら小池は裁判の中で、12月の委員会設置から都の勧告なされるまでの約8カ月間、そもそもが当の本人の小池へのヒアリングさえ実施していないというのだからだ。・・・・・・⑥に続く
(本誌・第三者委員会問題追及班)
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