2026/08/15
巨額の被害を生んだ悪質な「和牛商法」だっただけに、政府がしっかりした規制をしていれば被害は縮小できたことを強調した司法判断といえそうだ。
2011年に経営破綻した「安愚楽(あぐら)牧場」の消費者被害が拡大したのは、国が適切な監督・規制を怠ったためだとして、出資者約140人が計4億3000万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は7月30日、国に計3億8000万円の賠償を命じる判決を言い渡した。国が立ち入り検査後に業務停止命令などの措置を講じるべきだったとして、国の違法な対応が認定された。
■被害は4200億円
安愚楽牧場の和牛オーナー制度では、出資者に繁殖牛を割り当て、誕生した子牛を食肉加工するなどしたことで得た利益が配分されていた。だが、増える出資者に対して牛が足りなくなり、同牧場は出資者に架空の牛を割り当てるなどの不正に走った上で破綻したというのが十数年前に世の中を騒がせた事件だ。
出資者は全国で7万人以上おり、被害金額は約4200億円に及ぶとされ、2011年に安愚楽牧場が経営破綻した際には、大ニュースとして全国各地で取り上げられていた。
大阪地裁の7月30日の判決によると、農林水産省が2009年1月に安愚楽牧場の本社などへの立ち入り検査を実施。その後の調査で、実際に飼育されている牛の数と出資者に割り当てられている数字が異なる疑いも浮上したが、牧場側の釈明に対して裏付け史料の提出などを国は求めなかったとされる。
国が追加説明や資料を求めて、厳格な対応を取っていれば、被害拡大は防げていたという司法判断は非常に納得感がある。
ただ、同種訴訟は、全国4地裁に起こされ、国の賠償を認めた判決は今回が初めてだ。東京地裁では5月の判決で、出資者側の請求を棄却している。名古屋、宇都宮各地裁は係争中で、今回の大阪地裁判決がどう他の訴訟に影響を与えるのかが注目されそうだ。(桜田亮)
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