2026/02/25
2022年2月のロシアによる大規模侵攻から4年。ウクライナの戦場が消耗戦の様相を深める中、かつて鉄の結束を誇った欧米諸国の足並みには、隠しきれない亀裂が生じている。侵攻直後、自由民主主義の守護者として一つにまとまった欧米諸国の熱量は、長期化する戦争という過酷な現実を前に、いま重大な岐路に立たされている。
結束の乱れを象徴するのは、最大の支援国である米国の変容である。トランプ政権の再登板によって米国第一主義が外交の前面に押し出され、ウクライナへの軍事支援はかつてのような「無条件の継続」ではなくなった。トランプ大統領が掲げる早期停戦の構想は、ウクライナ側に事実上の領土割譲を迫る可能性を内包しており、これが主権の完全回復を支持する欧州諸国との間に深刻な温度差を生んでいる。米国が欧州の安全保障から一歩退く姿勢を見せる中、ウクライナは支援の命綱を握る大国の動向に、国家の存亡を委ねざるを得ない厳しい状況にある。
一方、欧州諸国の間でも、ロシアとの距離感をめぐる不協和音が鳴り止まない。ハンガリーやスロバキアといった現実主義を標榜する政権は、対露制裁や武器供与に対して公然と異議を唱え、欧州全体の意思決定を遅滞させている。欧州諸国は米国の支援縮小を補うべく軍備増強を急いではいるものの、エネルギー価格の変動やインフレが市民生活を圧迫し、「ウクライナ疲れ」が各国の内政を揺さぶっている。支援の正当性を世論に説明し続けることは、各国の指導者にとってかつてない政治的負担となっている。
こうした欧米の足並みの乱れは、プーチン大統領にとって最大の勝機に他ならない。ロシアは北朝鮮などとの軍事的連携を深め、制裁を回避しながら軍需産業を力強く再建させた。民主主義的な手続きや世論の動向によって政策が左右される西側諸国に対し、事実上の独裁体制下でリソースを一点に集中させるロシアは、長期戦こそが自国の勝利をたぐり寄せると確信を深めている。
侵攻から4年という節目を迎え、世界は正義と現実の狭間で激しく揺れ動いている。ウクライナの主権を守るという大義は失われていないが、それを支える政治的意志と経済的余力は確実に摩耗している。欧米が再び結束を取り戻し、確固たる秩序を再構築できるのか、あるいは疲弊の末に力による現状変更を容認してしまうのか。この4年目の情勢は、21世紀の国際秩序が瓦解するか、それとも踏みとどまるかを決する決定的な分岐点となっている。
(ジョワキン)
TIMES
政治•経済
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