政治•経済 レアアースの蛇口を開閉する中国
レアアースの蛇口を開閉する中国
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2026/06/26

 現代のハイテク産業において産業のビタミンと称されるレアアース(希土類)を巡り、中国はその圧倒的な供給力を背景に、独自の資源戦略を展開している。その手法は、完全な遮断ではなく、あたかも水量をコントロールするように輸出を制限・緩和する蛇口の開閉に例えられる。この戦略は世界のサプライチェーンに揺さぶりをかけ続けており、国際社会に経済安全保障の重要性を再認識させる契機となった。

中国は世界のレアアース採掘量で高いシェアを誇るだけでなく、中間処理や精製といった加工プロセスの分野では9割近くの支配権を握っている。採掘拠点を他国に分散させたとしても、最終的な精製を中国に依存せざるを得ない構造が、中国に蛇口を握らせる要因となった。

近年、中国はこの優位性を法制面から強固に補ねており、2024年に施行されたレアアース管理条例や両用物資統制施行令によって、採掘から輸出にいたる全工程を一元的に管理するシステムを構築した。さらに、中国由来の技術や素材を用いた国外製造品にまで規制を及ぼす「域外適用」の仕組みも導入している。

この網羅的な法的枠組みにより、中国は国際情勢や二国間関係の緊張度合いに応じて、柔軟に輸出のバルブを調節することが可能となった。2025年には米中首脳協議などを経て、一部の厳格な輸出管理措置を暫定的に停止する「アメ」の姿勢を見せた。しかしその一方で、対立が先鋭化すれば軍民両用品の対日輸出規制を即日発動するといった「ムチ」の行使も辞さない。完全に供給を断絶すれば自国経済への打撃や代替サプライチェーンの急速な構築を招くため、影響が出ない程度に蛇口を絞り、相手国の出方を見て再び緩めるといった日常的な圧力を巧みに使い分けている。

このような状況に対し、日本をはじめとする消費国も手をこまねいているわけではない。オーストラリアや東南アジア諸国との連携を通じた調達先の多角化に加え、中国への依存度が特に高い「精製プロセス」の内製化や代替拠点の確保を急いでいる。さらに、製品製造におけるレアアースの使用量を削減する技術開発や、廃家電からのリサイクル体制の確立も本格化している。

中国によるレアアースの蛇口の開閉は、資源依存の危うさを国際社会に突きつける象徴的な動きである。外交的な交渉カードとして資源が利用されるリスクを低減するためには、特定の供給元に依存しない強靭なサプライチェーンの構築が、今後の製造業における最大の防衛策となる。

ジョワキン

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