政治•経済 経済的に貧しいのになぜ北朝鮮はミサイルを発射し続けることができるのか?
経済的に貧しいのになぜ北朝鮮はミサイルを発射し続けることができるのか?
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2026/06/13

 北朝鮮が深刻な経済難に直面しているにもかかわらず、頻繁にミサイル開発や発射実験を継続できる背景には、国家の最優先課題として軍事を位置づける独特の統治体制や、外貨獲得のための多様な非公式ルート、そして地政学的な国際関係が複雑に絡み合っている。この現象を理解するには、単なる財政の優劣だけでなく、同国が築き上げた特殊な構造に目を向ける必要がある。

第一に、北朝鮮が掲げる「先軍政治(軍事優先主義)」という基本方針が挙げられる。一般的な民主主義国家では、国民の生活水準の向上や経済発展に予算が優先配分されるが、北朝鮮の体制下では国家の資源、優秀な人材、科学技術のすべてが軍事、特に核・ミサイル開発に最優先で投入される。国民生活が困窮しようとも、国家の防衛と現体制の維持こそが最重要であるという判断が徹底されているため、限られた国家予算の大半を軍事費に回すことが可能となっている。

第二に、国際社会からの厳しい経済制裁をすり抜ける形で構築された、独自の資金調達システムが存在する。国連などによる制裁によって正規の貿易は大幅に制限されているが、北朝鮮はサイバー攻撃による暗号資産(仮想通貨)の窃盗や、公海上で物資を不正に積み替える「瀬取り」による密輸、さらには兵器や軍事技術の海外輸出などを通じて、多額の非公式な外貨を獲得しているとされる。これらの活動によって得られた資金が、ミサイル開発の直接的な原資となっている。
第三に、歴史的に蓄積された自給自足的な軍事インフラの効果も見落とせない。北朝鮮は長年にわたり、ミサイル製造に必要な部品や材料の国産化を進めてきた。初期の段階では旧ソ連などの技術を導入していたが、現在では主要な製造工程を国内で完結できる水準に達しているとされる。これにより、毎回莫大な外貨を海外に支払うことなく、国内の労働力と資源を活用してミサイルを量産・改良できる基盤が整っている。

最後に、背後にある国際政治の構図が挙げられる。特に中国やロシアといった隣国との関係は、北朝鮮のサバイバルを支える重要な要素である。米中対立やウクライナ情勢の長期化に伴う米ロの緊張緩和の兆しが見えない中、これら両国にとって北朝鮮は米国の影響力を牽制するための緩衝地帯として機能している。そのため、国連安保理における追加制裁が足並みの乱れにより機能しづらくなっているほか、中ロからの水面下の経済的・エネルギー的な支援が、北朝鮮の経済破綻を防ぎ、ミサイル開発を継続させる余力を生む要因となっている。

このように、北朝鮮のミサイル発射は、徹底した軍事優先の資源配分、非合法な資金調達技術、長年培った技術の国産化、そして国際社会の分断を利用した外交戦略が一体となることで成立している。経済的な貧しさは国民生活の困窮を意味するものの、それが直ちに軍事能力の停止には直結しないという、国際政治における特異な現実をこの問題は示している。

(ジョワキン)

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