2026/06/07
地域の高齢者らを支える民生委員の不足が深刻化している。近年は高齢者の見守りや児童虐待の早期発見など役割が多様化する中、昨年12月に初め民生員の欠員数が2万人を超え、関係者の間では衝撃が走った。
民生委員は単身高齢者ら地域で支援が必要な人を訪ねて相談を受けつつ、行政との「つなぎ役」を担う・このため大規模な欠員が続けば、地域住民に対する支援が行き届かずに孤立死などのリスクも高まりかねず、改善は急務の課題だ。地域の居住者に限られている選任要件を緩和し、特例的に在勤者や転勤した元住民に広げることも検討すべきだろう。
■現在は地域の居住者のみ
民生委員は、厚生労働大臣から委嘱される特別職の地方公務員で、保護司などと同様に、地域支援に熱心な住民らが任命され、任期は1期3年となっている。
長年にわたり地域福祉を支える上で欠かせない存在のはずだが、近年は全国的に欠員が生じ、担い手不足は各地で深刻な問題となっている。昨年12月の一斉改選では、全国で24万971人の定数に対する欠員は2万91人に上り、不足に拍車がかかっており、極めて由々しき事態だ。
委員を選ぶ際の年齢要件が75歳未満と定めされているが、現在の委員の大半は60~70歳代。今後さらに委員の高齢化が急速に進むことは必至で、担い手確保が迫られている。
現在の委員が大量に退任していけば、地域で支援を必要とする人が取り残される恐れもあり、各地の自治体や国が本腰を入れて対策を図るべきだ。
厚生労働省の検討会では過去に、地域住民に限った選任要件の緩和を検討したが、緊急時の対応が困難などとして見送られ、そのまま議論は進んでいない。
ただ、緊急時は緊急時で詳細に対策を講じておく必要があるだろうが、まずは通常時の対策としこれだけ不足している実態があるわけで、選任要件の緩和は認めてもいいのではないだろうか。
ただでさえ民生委員が不足し、急速な高齢化も進む中、通常時の支援すらままならない状況を放置するのは許されない。地域福祉の安定を図る上で、国や自治体は適切な対応を取るべきだ。
(桜田亮)
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