2026/04/24
新たな分野で労災が認定されたからには、業界団体や国はしっかりと実態調査を進めるべきだろう。大手化粧品会社で化粧品販売員として働き、2024年に悪性胸膜中皮腫で亡くなった女性(当時68歳)について、アスベスト(石綿)による健康被害で昨年12月に労災が認められていたことが明らかになった。石綿被害を巡って労災認定されたのは全国初とみられ、患者の支援団体は国や業界団体に対し、国内の化粧品メーカーに実態調査を促すよう要望している。
石綿は1970年代に多く輸入された後、2006年から製造や使用が禁止されている。多くの業種で被害が発覚し、相次ぐ労災認定によって労働者に対する補償が進められてきた。ただ、これまでに化粧品業界で石綿被害を巡る労災は明らかになっていなかった。
患者を支援する「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(東京)や厚労省関係者によると、労災認定が判明した元化粧品販売員の女性については、1970年代に宮城県で働いていた際、化粧品やベビーパウダーなどに含まれていた石綿を吸引したことによって悪性胸膜中皮腫を発症したと認定されたという。石綿は潜伏期間が数十年に及び、原因に気づきにくい実態があることを踏まえれば、今回の労災認定の意義は極めて大きい。
女性の労災認定については、同会が3月下旬に宮城県で記者会見を開いて明らかにした。会見以降、会には中皮腫で亡くなった化粧品元販売員の遺族や消費者からの相談が次々と寄せられているという。同様の被害が広く拡大している可能性もあるだろう。国内の化粧品会社はもちろん、国も包括的な実態調査を進め、潜在的な被害者を救うための対策を迅速に講じるべきだ。
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